大小差を少なくすると穏やかに
文字のジャンプ率は本文(ほんもん)を基準にするが、写真は文字のような明確な基準値がない。このため、最小面積の写真を基準にして、最も大きい写真との面積比率でジャンプ率を表す。
写真のジャンプ率の効果は文字の場合と少し異なる。ジャンプ率を上げれば元気になるとは限らず、写真の中に込められたメッセージ自体が決め手となるのだ。すなわち静かな印象の写真を大きくしても、元気にはならず、かえって静かさが強調される。写真のジャンプ率の効果はシャープさと歯切れのよさだ。比率が低いと穏やかな表情になる。

写真のジャンプ率を下げてみると、穏やかなイメージになった(改作)

本物の誌面。大小差を大きくしたら、切れ味の鋭い誌面に変わった。写真の大小差だけでこれだけの違いになる [Esquire]
商品写真を大きくすると堂々とした感じに変わるが、シャープさがなくなる。

(改作)

本物の誌面
写真のジャンプ率とトリミングの関係
大小2つの写真枠に人物をレイアウトする時、大きな枠には、より拡大してアップにするのが原則。小さな枠には人物全体をロングにして、レイアウトする。写真の大きさと人物自体の大小対比が相乗し合い、緊張感が生まれる。空間の広がりも強調される。
大きな面積にはよりアップを

大画面には全身を入れ、小画面には部分を入れた方が自然に思えるが、実行してみると、常識的すぎて緊張感がなくなる。大画面に 全身を入れると対比関係がぼやけて、よどんだような誌面になった(改作)

原則通りに大画面にはアップをレイアウトする。大小差がより強調されて、シャープで距離感のある空間になった
[Esquire]

人物の大小差を抑え気味。抑えている分だけ穏やかな印象になっている(改作)

人物像の大小差が大きくなったら、生き生きしてきた。もう一度、左図と比べてみよう。この効果をチェックしておきたい
本記事は1998年発行の「レイアウト基礎講座」(著:内田広由紀 発行:視覚デザイン研究所)を底本として再編集し掲載しました。「レイアウト基礎講座」では多くの優れたレイアウト作品、新聞広告から名刺、求人チラシまで広く紹介しています。これらの作品によってレイアウトの仕組みがよく理解できたと思います。あらためて、制作関係者の皆様に感謝申し上げます。
以下に雑誌のリストを掲載させていただきます。情報は書籍発行当時のものです。
リストの見方
雑誌名 出版社名 出版年月 編集人 底本の掲載ページ-雑誌の掲載ページ
レ:レイアウト AD:アートディレクター CD:クリエイティブディレクター D:デザイナー AA:アートアソシエイツ DA:デザインアソシエイツ P:写真家 I:イラストレーター
料理の基礎完全マスター(H2O特別編集) 日本放送出版協会 1996年5月 細谷一郎 I:朝倉めぐみ てづかあけみ DTPディレクション+デザイン:TOPPAN DTPスタジオTANC 43-28
Olive (株)マガジンハウス 1998年6月 岡戸絹枝 AA:甘野アカネ 佐藤幹 高橋有紀子 内藤綾 45-44(P:内藤公將)
Esquire (株)エスクァイア マガジン ジャパン 1997年8月DAVID GRANGER 沢田博 AD:桜井久 D:鈴木香代子 下迫綾美 古川義弘 渡部英郎 41-16(P:ジェン・フォン)、45-160(P:小杉学)
MONOマガジン (株)ワールドフォトプレス1998年5月 土居輝彦 AD:伊東繁雄 D:プロジェクトQ(伊東繁雄 山上剛 水上真紀子 廣瀬優子 吉田貴夫 平坂美和) 若山デザイン事務所 43-76( P:Masahiko Yoshida, Yoshihisa Kumagai, Tomoaki Tsuruda, Takenori Aoki),
雑貨の本(きれいになりたい特別編集) (株)オレンジページ 1998年7月 前田クイン洋子 AD:西川一男 レ:西川一男デザイン室 29-28(P:堀内成哲)